Grape
2019年9月4日に配信開始した、Base Ball Bearの2nd EP。
概要
2nd EP『Grape』は、1st EP『ポラリス』で見つけた3ピースのバンドサウンドをさらに追い求め、王道も遊びも自分たちの手の中にあるのだという歓びにあふれた作品となりました。
秋の果物のように、フレッシュに熟れ始めたバンドの楽曲たちをお楽しみください。
というボーカルのこいちゃんのコメントにもあるように、前作の「ポラリス」から続く”3ピース”にとことんこだわった作品。
3ピースが故に派手さには欠けます。
しかし、3人の音を丁寧に積み重ね、1人1人のプレイがより引き立つ内容になっています。
ただ、3人がぶつかり合うような前作と比較すると、メロディの綺麗さやキャッチーさなど、歌もの色が強めになっている印象です。
現在は配信限定となっていますが、9月15日からライブ会場限定で販売されます。
こちらには「LIVE IN LIVE~17才から17年やってますツアー」のDVDもついているので、ライブに行ったら必ず買いたいですね!
どうして電波塔が逆さなの?
ジャケットはベボベ恒例の電波塔ですが、向きが逆さになっています。
これは、”逆さにするとぶどうに見えるから”らしいです。
色がとても綺麗ですね。
1.いまは僕の目を見て
「すべては君のせいで」に通ずるような世界観の切実なラブソング。
歌は綺麗なメロディでありながら肩の力が抜けていて、楽器隊はシンプルでありながらも音にこだわったサウンドが心地いいです。
テーマ
この曲のテーマは”言葉”。
言葉は穴のあいた 軽い砂袋さ
という歌詞からこの曲は始まります。
まさしくその通りで、思っていることを言葉にしようとしても100%伝えることってなかなかできないですよね。
皆さん知ってますか?
昔はゲーム機同士を有線ケーブルでつないでポケモンを交換したりしていました。
なつかしい・・・!!
それが今は技術が発達し、Wi-Fiなどの無線通信で情報を伝えることができるようになりました。
一方、人は昔からずっと言葉=無線通信で情報を伝えています。
それなのに情報伝達力はずっと低いまま。
それを嘆いて、
心と心つなぐ ケーブルがあるなら
とつぶやいているんですね。
このように、歌詞に重点を置くこいちゃん節全開で、
フリーハンドで 飛行機雲が 秋空を割ってく
雨けむる窓に書いた 水玉の手紙
「正しく」よりも「間違わずに」
など、とても秀逸でこいちゃんらしい表現が目を引きます。
あとだいたい”君”は横にいるし、”僕”はとても臆病だし、焼却炉から煙昇ってる。
このへんもこいちゃんらしいです。
ギターリフの秘密
ギターリフは、バッキングがなくてもいいようなリフにしたそうです。
ただ、シンプルすぎてもつまらないから、そうならないように頑張って考えたそうです。
MV
MVは、清流の中で演奏するメンバーをドローンで撮影したらしいです!
こいちゃん滑らない!?
ベース、アンプいる!?
ドラム濡れてない!?
気になるところはありますが、とても綺麗でシンプルな映像となっています。
他にもこだわりがあって、
- いちょうの中だと完全に秋の曲になってしまうから、そのイメージの固定は避けた
- ”清流”×”バンド”というありえない組み合わせがよい違和感を生んでいる
などなど。
【MVを撮影した田辺 秀伸監督からのコメント】
美しい清流というロケーションでのバンド演奏を撮影するというプラスの違和感と楽曲が描く風景感と小出さんの声がうまくハマったMVになったと思います。
また演奏だけで構成することでシンプルで強いバンド感を感じてもらえたらと思います。
ドローンは中学生のオペレーターに操縦していただき、新しい感覚と素敵な映像でMVをより壮大なものにしていただきました。
Base Ball Bearの心地よい音楽と心地よい映像を合わせて楽しんでいただけたらと思います。
2.セプテンバー・ステップス
日本テレビ系「バゲット」9月エンディングテーマ。
このEPで唯一のカッティング曲になっていて、たまらないです!
声にもショートディレイがかかっているのはなかなか新鮮です。
タッタッタッタッ
というフレーズも印象的で、これがまるでステップを踏んでいるようですね。
セプテンバー=9月ですが、歌詞には9月は出てきません。
ステップを踏むようにあっという間に過ぎてしまう9月を表現しています。
”黄色”を表現するときに絶対”Yellow”というところがベボベっぽいです。
3.Summer Melt
氷が溶けてコーヒーが薄まることを、いつか冷める恋に例えた歌です。
けどまだ秋が始まったばかりで、氷は溶けてないみたいです。
このEPで最もシンプルな曲。
今回の4曲で一番歌詞に悩んだそうです。
4.Grape Juice
アップテンポでかっこいい曲。
とは言ってもこのEPの中での話で、これまでのベボベの曲と比較するとやはりパンチは弱いです。
でかいギター ひくいベース はやいドラム
とか、
爆音で音楽浴びさせて
とか、こいちゃんが音楽のことを歌うって珍しいなぁ。
あとは
ごくごくして
って歌詞がいいですね。
意外と曲の中で耳にしないワードなので、つい気になってしまいました。
きっとそういう”気持ちいい気持ち悪さ”は狙ってやっているのでしょう。
あとあれですね、珍しく頭が悪そう。笑
ひらがなが多かったり、襟を汚すくらいごくごくジュースを飲んだり、本能的な雰囲気が漂っています。
こいちゃんってとんでもなく理屈人間というか、本能と真逆のところにいる人だと思っているので、これは意外でした。
”言葉の意味”に重点を置いた「いまは僕の目を見て」へのカウンターパンチ的にこの曲が用意されているのでしょう!