馬と鹿
2019年9月11日に発売された米津玄師の10枚目のシングル。
1.馬と鹿
バスドラムと手拍子が鳴り響くスケールの大きい曲。
ドラマは、ラグビー・企業スポーツ・左遷などが描かれていて、どんな曲にするか悩んだそうです。
ただ、ここ2年くらいサッカーにハマっているそうで、試合観戦などをする中でこんなことを思ったそうです。
選手たちは、ストイックな日々を経たうえで、我を忘れて、一点だけを見つめて相手を打ち負かさんとする。
その単純明快で猪突猛進な感じと、その結果次第でみんなに祝福されて、名前を呼ばれて、喜び合う……。
その光景がひたすら美しい、普遍的な愛でしかないと思ったんです。
その状態を音楽にできないかということを考えた。
そんな”我を忘れて熱狂的になる瞬間”を描いた曲になっています。
そんなテーマの割に、この曲の音楽偏差値たっか!!
むずい!むずすぎますって!
熱狂的な瞬間を描くならもうちょっと安直に「ピースサイン」みたいな曲がよかったのでは?
ただ、こんなことも言っています。
こういう、一見わけのわからない、複雑怪奇な曲がドラマの主題歌としてテレビから流れてくる。
俺はそういう状況が好きなんですよね。
そこまで音楽を好きでもない人間が、こういう曲を聴いたらどう思うんだろう?という興味がある。
ある種のいたずら心かもしれないですけど、それによって、遅効性の毒を仕込む感じというか。
この考えは星野源にも通ずるものがあるなと思いました。
彼もアルバム「POP VIRUS」で、かなり音楽偏差値の高いことをポップにやってのけました。
こういう尖った人がお茶の間に出るにはポップさを求められると思うので、その中にいかに毒を盛るか、とても意識されているようです。
この曲は各所に転調が潜んでいるのですが、ほんと上手に進行していきますね。
特に
何に例えよう
からのコード進行が異次元すぎる・・・!
ラスサビの
君じゃなきゃ駄目だと
がとてもエモーショナルでいい。
こんなに声を荒げるのは珍しいですね。
2.海の幽霊
映画「海獣の子供」主題歌。
神聖で、荘厳で、「馬と鹿」以上に高尚な曲となっています。
俺は10年くらい前から「海獣の子供」というマンガが大好きで、いつか映像化されるのであればその音楽を作りたいとずっと思い続けて活動してきたんですけれど、その長年の夢が叶った。
そして個人的にもすごく美しい音楽が作れたという満足感があったんです。
でも、その満足感が大きすぎて、ある種、燃え尽き症候群みたいになってしまって。
「海の幽霊」という曲を作って自分がやりたいことは全部やり尽くしちゃったんじゃないかと感じるほどの満足感があったんですよね。
もう自分の中には何も残ってないんじゃないかと思った。
と語るように、「海獣の子供」に対する想いや意気込みはかなりのものだったようです。
コーラスの癖が強すぎて、ちょっとやりすぎだなぁと思ってしまいました。
3.でしょましょ
この曲は、狂った世の中に対する米津玄師からのアンチテーゼ。
ここ最近、恐ろしい熱狂の渦を感じるんです。
SNSでもいろんな怒りが渦巻いているのを見る。
口に出すのも憚られるほどの本当にひどい言葉がタイムラインに並んでいる。
これは一体なんなんだろうとすごく思うんです。
その”熱狂”を表現するかのように、謎の音声が至るところに散りばめられていて、かなり不気味です。
特に
アクセル踏み込もう
のとこの声はかなり不愉快すぎる。
特典DVD
収録曲
- Flamingo
- LOSER
- 砂の惑星
- 飛燕
- かいじゅうのマーチ
- 春雷
- TEENAGE RIOT
- amen
- Undercover
- Lemon
- ごめんね
感想
全ての曲が途中でカットされていて、正直満足度は低いです。
これをYoutubeにのっけて、フルコーラス版をDVDに収録するならまだわかるんですが・・・。
あとなんか音がしょぼくないですか?
重低音がないというか、楽器隊の迫力を全く感じません。
ライブで既に迫力がないのか、DVDにするときにうまく表現できなかったのか。
米津玄師が煽ったりするとこも全然ないし、お客さんの声もあんまり聞こえないし、臨場感がありません。
割とこのDVD目当てで買ったんですが、残念でした。
まぁ、ほんとにおまけ程度の映像です。
全体を通して、CDは3曲とも静かで音数少なめなつまらない曲ばかりだし、DVDも満足度が低くて、最近取り込んだファンを突き放すような作品になっていると思いました。